アイルランドと北海道の関係は1粒の種から始まった
アイルランドと、日本列島最北に位置する北海道との60年に及ぶ友好関係は、1粒の種を植えたことから始まりました。1964年の東京オリンピック開催の年、アイルランドからロッジポールパインの種が贈られ、間もなく遠軽町の北海道家庭学校敷地内にある展示林にその苗木が植えられました。
最初に種が植えられてから60年が経ち、北海道とアイルランドのつながりも広がり、強固なものとなり続けています。これらのアイルランドの木は、北海道北東部の遠軽町の森林で大きく育ち、その後、2020年に再び日本でオリンピックが開催されることを祝って開設された東京の日本オリンピックミュージアムで、内装材・家具の一部として使用されました。
遠軽町に移植された木々はその後、苗木をもたらしました。苗木は2024年に札幌市の中島公園や札幌西高等学校に移植され、両コミュニティの普遍の絆を象徴するシンボルとなっています。
北海道とアイルランドのこのつながりは、未来へのビジョン、持続可能性、友好の生きた物語として、今も紡がれ続けています。
北海道を象徴するさまざまな景観
北海道のアイリッシュライフ
木が根を張るように、アイルランド人コミュニティも北海道に根を下ろしてきました。アイルランドのナショナルデーであるセント・パトリックス・デーは、札幌市では2019年以来、毎年、パレードで祝われ、街は音楽や緑色、一体感にあふれます。毎年、活気あるコミュニティ団体の主催により、アイルランド音楽や日本人ミュージシャンによる小規模なコンサートが開かれ、その後、賑やかなパレードが市内の通りを練り歩きます。
現在、北海道は東京と神奈川に続き、日本で3番目に多くのアイルランド人が暮らす都道府県です。苫小牧市、岩見沢市、東川町、八雲町などで教育に携わったり仕事に就いたりしているJETプログラム参加者や永住者を含め、道内には80人以上のアイルランド人が暮らしています。
アイルランドの在外公館が正式に札幌に置かれたのは2012年です。以来、札幌市には日本で唯一のアイルランド名誉領事が駐在しており、両地域の結びつきの強化を支えています。
知識交流
教育・文化交流は北海道とアイルランドの関係について関心を高めるのに重要です。近年、札幌西高等学校や藤女子中学校・高等学校の生徒を含め、120人以上の北海道の高校生が、アイルランドを訪れて生活と文化を直接体験し、両地域の絆をさらに深めて帰国しました。
この交流の精神は高等教育にも持ち込まれています。2000年代初頭以来、アイルランドの主要大学は北海道大学と緊密な関係を築いて、人獣共通感染症管理から感染性疾患、社会政策に至るまでのあらゆる分野で、学生、研究者、教職員の協働や交流を行っています。こうしたパートナーシップは、知識交流が文化の発展に大きな意味を持つことを示しています。
農業におけるつながりのための種まき
北海道とアイルランドは地理的に世界の反対側に位置しているかもしれませんが、想像以上に多くの共通点があります。どちらも人口と面積がほぼ等しい島で、農業の伝統を誇り、海を越えた遠くの食卓まで食料を提供しています。
アイルランドと北海道のビジネスと経済のつながりには、持続可能な農業と食料生産、サラブレッドの生産と競馬における強固な関係も含まれています。
アイルランドは毎年、食品と飲料の90%を世界140カ国以上に輸出していますが、他方、北海道の農家や生産者も同様に品質と持続可能性、そしてイノベーションに力を注いでいます。
互いに学び合うことで、農家も食品企業も事業を成長させ、自然環境を保護し、将来世代に持続可能性を確保することができます。
北海道に残るアイルランド産馬の蹄跡
競馬場から牧草地まで、アイルランドと北海道には馬の世界を通じて深いつながりがあります。アイルランドで生産・調教された馬が、日本全国の競馬場で、あるいは北海道の生産牧場で、日本競馬界の高みに上ってきた長い伝統と歴史があります。2024年、オーギュストロダン(アイルランド生産・調教、父は日本のディープインパクト)が、東京競馬場での2024年ジャパンカップ出走を最後に引退しました。
このつながりは一方向ではありません。日本の競走馬もダブリンのレパーズタウン競馬場で行われるアイリッシュ・チャンピオン・ステークスの芝コースで出走しており、北海道は日本のサラブレッド産業の中心地であり続けています。今日では、北海道のアイルランド人コミュニティもこの物語の一端を担っており、アイルランド人所有の牧場をはじめ、日本のサラブレッド生産・競馬産業での仕事に従事しています。また、100人以上の日本人プロフェッショナルが攻馬手としてアイルランドに渡り、貴重な国際的実地経験を積んでいます。アイルランド各地の町や村の牧場で生活し、働くことで、新しい技術を日本に持ち帰るだけでなく、長く続く国際的なつながりも築いています。
60年に及ぶ交流を祝う
2025年、アイルランドと北海道の60年の友好を祝うイベントが札幌市で開かれました。集まった人々はともにアイルランド料理を味わい、ライブ演奏を楽しみ、教育、文化、農業、スポーツなど、いかに多くの分野を通じて私たちが絆を築いてきたかを振り返りました。
60年を経た今、最初に蒔かれた種から芽生えた精神は大きく育ち、北海道とアイルランドのつながりは広がりと強さを増しています。この記念イベントはこれまでの道のりを振り返るだけでなく、新たな交流や関係が根を下ろし続ける未来を見据えるものともなりました。